磁石の種類と特性
磁石は材質によって違った性質を持ちます。このページでは磁石の特徴をご紹介いたします。
※表の数値はあくまでも平均値です。これらの数値を保証するものではありません。
※用語の解説はこちらをご覧ください
種類 単位 残留磁束密度
[Br]
保磁力
[Bhc]
保磁力
[Ihc]
最大エネルギー積
[BH]
キュリー点
等方性
フェライト
CGS 2.05〜2.35kG 1.8〜2.2kOe 3.0〜3.5kOe 0.9〜1.3MGOe  450℃
SI 205〜235mT 143.3〜175.1kA/m 238.7〜278.5kA/m 7.3〜10.5kJ/m3
異方性
フェライト
CGS 3.9〜4.1kG 3.0〜3.4kOe 3.05〜3.55kOe 3.6〜4.0MGOe  450℃
SI 390〜410mT 238.7〜270.5kA/m 242.7〜282.5kA/m 28.7〜31.9kJ/m3
ネオジウム CGS 12.3〜12.9kG 10.5〜12.5kOe >11kOe 35〜39MGOe  300℃
SI 1230〜1290mT 836〜995kA/m >876kA/m 279〜310kJ/m3
サマリウム
コバルト
CGS 9.8〜10.6kG 6.0〜8.0kOe 7.0〜11.0kOe 22.0〜26.0MGOe  750℃
SI 980〜1060mT 477〜637kA/m 557〜875kA/m 175〜207kJ/m3
アルニコ CGS 12.5〜13.0kG 0.60〜0.66kOe 0kOe 4.8〜5.5MGOe  860℃
SI 1250〜1300mT 47.7〜52.5kA/m 0kA/m 38.2〜43.8kJ/m3
単位一覧表
量の名称 計量単位 単位記号 計量単位 単位記号 計量単位の関係
磁束密度 ガウス ミリテスラ mT(=0.001T) 1G=0.1mT
磁界の強さ エルステッド Oe アンペア毎メートル A/m 1Oe≒79A/m
重量キログラム kgf ニュートン N 1kgf=9.8N
用語解説
種類 解説 解説
磁束密度 一定の面積に集まっている磁力線の数の密度(磁力の強さを表したもの)
残留磁束密度 磁石素材に着磁し外部磁界を取り除いたあとに素材が持っている磁束密度 [Br]
保磁力 保磁力=抗磁力
磁化をひっくり返すために加えなければならない逆向きの磁界の大きさ
[Bhc] 磁石の磁束密度を0までに(磁石の有効磁性を0)抑えるに必要とする反対方向の附加磁場
[Ihc] 磁石の磁界強度を0までに抑えるのに必要とする、反対方向の附加磁場
最大
エネルギー積
磁石が蓄えることの出来る最大の磁気エネルギーの値 [BH]
キュリー点 強磁性体が磁性を失う温度
フェライト
鉄酸化物粉末を主原料にした、最も一般的な磁石です。
フェライト磁石特性
長所 焼結磁石のため耐腐性・耐酸化性にも優れています。磁気保持力が高いので減磁しにくく、安定しています。規格品やロットがまとまった場合最も安価な磁石です。
短所 機械的強度が低く陶器のように割れやすいことです。
制作上、多くの場合金型が必要となりますので小ロットの特別規格品が製作しにくい面があります。(一定規格の母材より加工製造すれば少量の試作等にも対応が可能です)
温度特性 熱による減磁は大きい磁石です。100℃を超えると磁力が大きく低下し、200℃環境下では磁力は半減します。200度までからの常温復帰時はおおむね元の磁力を回復します。
磁力特性 異方性:特定方向に強力ですが他方向には磁力を発揮しません
等方性:異方性に比べ磁力は弱くなりますがどの方向にも等しく磁力が出ます
ネオジウム
数ある磁石の中でも、最も高い磁気エネルギー積を持ち、しかも他の希土類磁石に比べ安価であるという特徴を持ちます。
ネオジウム磁石特性
長所 流通している磁石の中で最高の磁気特性を持っており小さいサイズでも強力な磁場を作り出します。また、硬く、割れや欠けが少なく、機械的強度にも優れています。用途に合わせた形状の製作も比較的容易で小ロットでの試作にも向いています。
短所 さびやすく、当社では表面をニッケルメッキ処理しております。また、温度特性が低く、熱に弱い磁石です。
温度特性 熱による減磁は大きい磁石です。通常品では80℃未満が使用条件となります。150℃以下で使用できるタイプも普及してきています
サマリウムコバルト
高い磁気エネルギー積を持っています。ネオジウム磁石と比べると原料の産出量が少なく、高価な一面も持ちますが、熱安定性・耐食性面で非常に優れています
サマリウムコバルト磁石特性
長所 ネオジウムに次ぐ磁気エネルギー積を有します。温度特性に優れ、高温による使用に向いています。さびにも強く、通常は表面処理はしません。用途に合わせた形状の製作も可能です。
短所 原材料が高価なため、他の磁石に比べ価格は高めです。また、機械的強度は低く、割れたり欠けたりしやすい磁石です。機械加工は可能ですが加工性はよくありません
温度特性 アルニコ磁石に比べ熱による減磁は小さい磁石です。高温環境でフェライト磁石より省スペースで強力な磁力を要する場合に採用されます。300℃程度からの常温復帰時ならおおむね元の磁力を回復します
アルニコ
アルミニウム、ニッケル、コバルトなどを原料とした磁石です。原料の供給不安などから、フェライト磁石のように一般的ではありませんが、キュリー温度が高いため高温に強く、また割れにくい点などから、計器用などを中心に根強い需要があります。
アルニコ磁石特性
長所 磁石の中で最も温度特性に優れ、高温環境での使用に適しています。また、鋳造で製作されるので機械的強度にも優れています。
短所 保磁力が小さく減磁しやすい磁石です。磁極間を長くする必要があるため細長い形状になります。また製品サイズによっては金型が必要になるため価格が高めになります。
温度特性 もっとも熱での減磁が小さい磁石です。400℃程度からの常温復帰ならおおむね元の磁力を回復します。
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